最近の研究成果


構造物の3次元地震応答シミュレーション3次元津波シミュレーション九州沖から南西諸島までの超巨大地震の津波シミュレーション震源から構造までの全体系解析法

●構造物の3次元地震応答シミュレーション

京コンピュータによる高架橋の広域3次元地震応答シミュレーション

【投稿論文】
吉野廣一、野中哲也、本橋英樹、金治英貞、鈴木威、八ツ元仁、中村良平:京コンピュータによる高架橋の広域3次元地震応答シミュレーション、第17回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、2014.7。
【本論文の概要】
 本論文では、想定外の巨大地震まで対応した地震防災等に役立つ道路ネットワークの地震応答シミュレーションの構築に向けて、路線の長さが約20kmの連続した架空の高架橋に対してシェル要素によるモデル化を行い、路線全体の大規模な地震応答シミュレーションを実施している。本シミュレーションを実施する場合には、膨大な演算量が必要となり、一般的なコンピュータでは処理能力が不足するため、国内最高峰のスーパーコンピュータである京コンピュータを用いることとし、京コンピュータ向けにDDM(Domain Decomposition Method)による解析プログラムを開発した。

謝辞:本研究の結果は、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を利用して得られたものです(課題番号:hp140073)。ここに記して謝意を表します。
京コンピュータによる高架橋の広域3次元地震応答シミュレーション
DDM用の高架橋モデル                      高架橋の解析結果

→投稿論文のカラー版のダウンロードはこちらから(0.64MB)


●3次元津波シミュレーション

1.京コンピュータによる橋梁を含む広域3次元津波シミュレーション

【投稿論文】
野中哲也、本橋英樹、吉野廣一、原田隆典、川崎浩司、馬越一也、菅付紘一:京コンピュータによる橋梁を含む広域3次元津波シミュレーション、第16回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、2013.7。

【本論文の概要】
 通常の広域の津波浸水シミュレーションは、非線形長波理論による平面2次元津波解析を実施して、津波高さ(津波浸水深)や浸水エリアを求めるものである。確かにこのシミュレーションは津波防災等において重要であるが、防災拠点や避難ビル等の重要施設、橋梁や防波堤のインフラが、想定される津波の波力に対して、健全で役目を果たすかどうか定量的には評価できない。そこで、本研究では、これまで実施してきた3次元津波解析による評価法を拡張して、数橋を含む広域の3次元津波シミュレーションを、最高峰のスーパーコンピュータである京コンピュータを用いて実施した。そのシミュレーションの結果を示している。

謝辞:本研究の結果は、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を利用して得られたものです(課題番号:hp130031)。ここに記して謝意を表します。


2.津波襲来時における津波波力による大型ケーソン基礎への影響

【投稿論文】
馬越一也、葛漢彬、中村真貴、野中哲也:津波襲来時における津波波力による大型ケーソン基礎への影響、第16回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、2013.7。

【本論文の概要】
 湾岸沿いに架橋している長大斜張橋の大型ケーソン基礎に着目して、同一震源断層における地震動と津波の複合現象における構造物被害を明らかにするために、津波が襲来したときの大型ケーソン基礎に対する津波波力を3次元津波解析によって算定し、地震時の損傷を考慮した橋梁全体系モデルにその津波波力を入力する動的応答解析を実施した。ここでは一つのケーススタディの結果を示しているだけであるが、本手法を用いることで、他の地域の構造物評価に対しても定量的な分析が可能と考えている。

3.道路橋の津波被害再現解析

【投稿論文】
・本橋英樹,菅付紘一,野中哲也,川崎浩司,原田隆典:小泉大橋の津波被害再現解析,土木学会論文集B2(海岸工学)Vol. 69,No.2,2013,I_831-I_835.

【本論文の概要】
 本論文では、東北地方太平洋沖地震で発生した津波によって被災した橋梁の流失メカニズムを把握することを目的として、3次元流体解析プログラム(OpenFOAM)を用いて流失した橋桁およびその周辺に対する津波被害の再現解析を試みた結果を示している。対象橋梁は被災した小泉大橋とし、結果として、橋桁の流失や周辺地形の洗掘現象が概ね再現および想像できるような結果が得られた。

 →津波アニメーション(小泉橋周辺3D動画(浸水))の再生とダウンロード(再生時間:45秒、38.6MB)
 →津波アニメーション(小泉橋周辺3D動画(波力))の再生とダウンロード(再生時間:1分1秒、43.7MB)



4.貯蔵タンクに対する津波被害の判定方法

【投稿論文】
・菅付紘一,原田隆典,野中哲也,中村真貴,馬越一也:貯蔵タンクに対する津波被害の判定方法,土木学会論文集B2(海岸工学)Vol. 69,No.2,2013,I_826-I_830.

【本論文の概要】
 本論文では、津波による貯蔵タンクの津波被害メカニズムを解明するため、3次元流体解析ソフト(OpenFOAM)による津波解析とその結果を用いた構造解析を組合せる方法で貯蔵タンクに対する津波被害の判定方法および適用事例について示している。この提案する解析モデルおよび判定方法により、貯蔵タンクに対する詳細な津波被害の判定が行えることから補強検討にも活用できると考えている。

 →津波アニメーションの再生とダウンロードはこちらから(再生時間:30秒、12.7MB)




5.津波波源から橋梁までの全体系津波再現解析

【投稿論文】
・野中哲也、本橋英樹、原田隆典、坂本佳子、菅付紘一、宇佐美勉:津波波源から橋梁までの全体系津波再現解析、第15回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、pp.25-32、2012.7。

【本論文の概要】
 本論文では、東日本大震災の津波波源として研究されてきた波源を参考にして、津波波源域から対象橋梁までの全体系の津波解析を実施し、その結果得られた波力でもって対象橋梁の桁流出の判定を行うという方法を提案している。その方法により、実際に被災した橋梁を対象にして再現解析を試みている。沖合いから橋梁までの3次元津波解析ソフトとしては、オープンソースコードのOpenFOAMを採用した。


6.I桁橋に対する津波作用力特性の解析的検討

【投稿論文】
・吉野広一、野中哲也、原田隆典、坂本佳子、菅付紘一:I桁橋に対する津波作用力特性の解析的検討、第15回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、pp.73-80、2012.7。

【本論文の概要】
 本論文では、I桁橋を対象にして津波が作用した場合、I桁周りにおける津波の作用力特性について検討を行っている。I桁橋の桁断面の形状から桁内に空気塊が発生するが、これを直接表現したいため、水と空気の2相流解析も実施して、これまでの1相流解析と比較検討も行っている。1相流解析ソフトとしてCADMAS-SURF/3D(CS)を、2相流解析ソフトとしてOpenFOAM(OF)を用いることにした。


7.津波襲来時における大型漂流物の長大橋衝突シミュレーション

【投稿論文】
・馬越一也、葛漢彬、野中哲也、原田隆典、村上啓介:津波襲来時における大型漂流物の長大橋衝突シミュレーション、土木学会論文集B3(海洋開発),2012.

・馬越一也、葛漢彬、野中哲也、原田隆典、宇佐美勉:津波によって漂流した大型船舶の衝突を受けた鋼斜張橋の安全性評価に関する解析的検討、第15回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、pp.1-8、2012.7。

【本論文の概要】
 本論文では、津波によって漂流した大型船舶が、湾岸線の長大橋へ衝突したことを想定して、衝突時の挙動および構造物への被害を明らかにするために、津波伝播解析と、精緻な橋梁全体系解析モデルによる衝突時の動的弾塑性有限変位解析を用いた数値シミュレーションを実施している。衝突力の算定においては近似的な解析手法の提案をし、対象橋梁の衝突部材が耐えうる最大の漂流物が衝突した場合の挙動について結果を示している。


津波による長大橋と大型船舶の衝突解析


8.津波による桁が流失した橋梁の再現解析


 東日本大震災において、津波により被災した橋梁の再現解析を実施し、2011年7月28日に開催された「第14回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム」で発表しました。このシンポジウムは震災後に最初に開催され、当社がいち早く新たな再現解析手順を提案して、桁流失の実橋梁に適用したことに高い評価を得ました。

【投稿論文】
原田隆典、村上啓介、Indradi Wijatmiko、坂本佳子、野中哲也:
津波により桁が流失した床版橋の再現解析、土木学会、
第14回性能に基づく橋梁等の耐震設計に関するシンポジウム講演論文集、pp.103-110、2011.7。


【本論文の概要】
  • 本研究では、次のような一連の再現解析手順を提案した。まず観測された津波高さを活用または長波理論の2次元津波解析を実施することにより波状段波を定義して、差分法による3次元津波解析を実施する。この解析により得られた桁に発生する圧力を波力の時刻歴データに変換する。次に、対象橋梁の解析モデルに対して、その波力を作用させる時刻歴応答解析を実施する。このような一連の解析手順を提案した。
  • 本提案手順に従って対象橋梁の再現解析を実施したところ、津波の波力により支承に負反力が発生し、コンクリート桁が浮上ったと推察される。また、津波が襲来する前に本橋梁に対して揺れ(地震力)が作用するが,地震応答解析の結果から支承が損傷しないことがわかったため、本橋梁は揺れではなく津波により被災したと結論づけた。

●九州沖から南西諸島までの超巨大地震の津波シミュレーション


 南九州の沖合から南西諸島までの海域において、M9クラスの超巨大地震が発生した場合の津波シミュレーションを新たに実施しました。この海域には南西諸島海溝があり、超巨大地震やそれに伴う巨大津波が発生することも考えられますが、研究はあまり進んでいません。
【津波解析条件】
 (1)波源
   ・九州沖から南西諸島までのM9.3超巨大地震
 (2)理論
   ・非線形長波理論、
 (3)水位データ
   ・平均潮位
 (4)地形データ
   ・最小メッシュサイズ:2km
   ・断層運動による地盤沈下を考慮

【津波シミュレーション】
 九州沖から南西諸島までの超巨大地震の津波シミュレーションの結果を下図に示します。図をクリックするとアニメーションがご覧になれます。  このアニメーションの結果から、鹿児島や沖縄だけでなく九州の西側の熊本や長崎にも津波が押し寄せていることがわかります。また、中国大陸と朝鮮半島に向けては、水深が浅いため(津波の速度は水深が深いと速く、浅いと遅くなる特性があるので)、津波が太平洋側よりゆっくりと進むこともわかります。


●震源から構造までの全体系解析法


 2009年4月23、24日に開催された第55回構造工学シンポジウムで、私共が提案してきた全体系解析法(震源から地盤・基礎・構造物系を一貫して捉えて構造物の耐震解析法)の研究成果が評価され、論文賞を受賞しました。

【投稿論文】
 原田隆典、野中哲也、王宏沢、岩村真樹、宇佐美勉:
 震源断層近傍における上路式鋼トラス橋の応答特性、土木学会、構造工学論文集、Vol.55A、
 pp.573-582,2009.3.


構造工学シンポジウム論文賞の楯

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震源断層近傍における上路式鋼トラス橋の応答特性
【本論文の概要】
  • 震源断層近傍の上路式鋼トラス橋の応答特性解明のために、震源から橋梁までの一貫した解析モデルを提示した。そのモデルを用いて、対象橋梁の応答特性が断層の位置(断層が横断か並行)および断層上端の深さに大きく関係することを解明した。
  • 本研究では、M6.5の直下地震、基本的な地盤モデル、および動的挙動が複雑な上路式鋼トラス橋に対するケースについての検討結果を示したが、本研究の提案解析モデルおよび理論的評価手法を用いれば、容易に他の条件での検討が可能であり、今後、橋梁の耐震検討や耐震補強等を実施する上で重要な評価手法になると思われる。

【名城大学ARCSECセンターでの講演】

 名城大学ARCSEC(高度制震実験・解析研究センター)のワークショップが、平成22年5月14日に開催されました。このワークショップでの招待講演として、本研究の成果を発表いたしました。

  • 招待講演のテーマ:震源断層近傍における鋼トラス橋の応答特性および進行性破壊
  • 講演の概要:
     地震時の動的挙動が複雑な橋梁に分類される上路式鋼トラス橋を対象にして、震源から橋梁までの一貫した数理モデルを提示した上で、断層永久変位を含むM6。5の直下地震の震源断層近傍における対象橋梁の応答特性を概説する。
     波形については、運動学的断層モデルと水平成層地盤モデルに基づいて、断層永久変位を含む地震動波形を理論的に合成して作成している。
     また、断層近傍においては、大きな加速度だけでなく断層変位も受けるため、十分に耐震設計された橋梁でも崩壊することがある。本トラス橋の崩壊メカニズム等を解明するために、部材破壊による構造系の変化が考慮できる解析法、すなわち進行性破壊を考慮した地震応答解析法を提示する。

 講演で使用した原稿をこちらからダウンロードできます。 →PDF形式(*)(全42ページ、1.4MB)

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